【医師監修】イソトレチノインのすべて
イソトレチノインとはビタミンA誘導体の一つで、⽪脂の分泌を抑える作用、アクネ菌に対する抗菌作⽤、抗炎症作⽤があります。重症にきびに対して有効な薬剤です。欧⽶では、 にきび治療に必要不可⽋な薬剤として20年以上の歴史があり、「にきび治療薬の切り札」とも⾔われています。
イソトレチノインの効果
①皮脂分泌の抑制
イソトレチノインを内服することで、皮脂分泌を抑制する作用があります。
皮脂は、真皮にある皮脂腺から分泌される脂です。皮脂の分泌が過剰になると、皮脂が毛穴に詰まります。そして、皮脂によって詰まった毛穴にニキビの原因であるアクネ菌が繁殖し、ニキビができます。
②アクネ菌(ニキビの原因になる菌)の増殖抑制・殺菌作用
前述した通り、イソトレチノインの服薬で皮脂分泌が減少することで、ニキビの原因になる菌であるアクネ菌の増殖が抑制されます。
③角化による毛穴詰まり改善
イソトレチノインには肌の代謝を促したり、皮膚の角化を抑えるはたらきがあるため、角化による毛穴詰まり改善にも効果が期待できます。
副作用
イソトレチノインには様々な副作用が伴います。人によって発症する副作用は異なりますが、肌や唇の乾燥は多くの方に診られます。特に注意しないといけない重大な事として妊娠中に方がイソトレチノインを服用した場合催奇形性といって、生まれてくる赤ちゃんが奇形児になってしまう可能性があるので十分に注意が必要です。しっかり先生と相談して本当にイソトレチノインによる治療が必要か判断してください。
- 皮膚、唇、髪の毛の乾燥
- 鼻血
- 筋肉痛、関節痛
- 疲れやすさ
- めまい
- 吐き気
- 頭痛
- 精神疾患
- 発疹痒み
- 視力低下
- 聴力障害
イソトレチノインで毛穴は小さくなる?
イソトレチノインは本来、重症ニキビの治療薬として使用されていますが、近年では、毛穴治療としても使用されています。
まず、毛穴が目立つ原因を説明致します。
①角栓
角栓とは、黒くなった皮脂が毛穴に詰まっている状態の事です。空気にふれ酸化すると黒くなるのでさらに目立ってしまいます。
②皮脂の過剰、乾燥
毛穴の奥の皮脂腺から排出される皮脂は、肌の潤いをキープする大切な役割を担っていますが、皮脂量が過剰に増えると皮脂腺の出口が大きくなってしまうため毛穴が目立ってしまいます。また、お肌が乾燥していると、角質層が厚くなり、肌表面がゴワゴワして硬くなっていきます。さらに肌の潤いを保つバリア機能が損なわれ、肌のキメが乱れ、毛穴が目立ってくるのです。
③ニキビ
炎症しているニキビを潰してしまうとその部分の炎症が悪化し、クレーター状になって毛穴が開いたままの状態になってしまうこともあります。開いた部分に汚れや皮脂がたまると毛穴がより目立ってしまいます。
④加齢
加齢によって真皮のコラーゲンが減ってしまうと肌の弾力がなくなり、肌がたるんでしまいます。そうすると、毛穴も目立ってしまいます。(たるみ毛穴)
イソトレチノインの皮脂分泌を抑える作用、お肌のターンオーバーを整える作用があります。それらの効果が毛穴の目立ちを抑えます。
内服をやめたらニキビは再発するの?
当院で取り扱っている、アクネトレントの場合、使用した90%以上の患者様で改善が見られ、再発率は30%以下という報告があります。1〜2%の患者さんには、全く効果が認められないことがあります。
再発率を下げるためには、”適切な量と期間”を守ることが大切です。
たとえ服用し始めて2ヶ月で症状がよくなったとしても6ヶ月は服用し続けることが重要です。1クールの治療期間は、4〜6ヵ月です。
ほとんどの場合1クールで改善しますが、2クール目に入る場合は、2ヵ月以上の休薬期間をあけてから、2クール目に入ります。
個人輸入の危険性
イソトレチノインはアメリカのFDAで1982年に認可されましたが、日本では現在も処方薬としては承認されておらず、ドラッグストアでは購入することができません。医師が個人的に輸入し、自己責任で患者へ処方することのみ認められています。そのため、国内で手に入れる場合は、自由診療を行う美容皮膚科や美容クリニックなどを受診し、自己負担で処方を受ける必要があります。
しかし、インターネットで個人輸入が簡単にできてしまうことから副作用や、リスクを知らずに服用している方も少なくありません。
なぜ個人輸入が危険なのか?
①専門家からの説明が受けられない
イソトレチノインは、胎児の奇形、鬱、など重大な副作用があります。
腸疾患、肝疾患などの副作用もあるため服用中はしっかりと検査を受けることが重要です。また、服用中と服用後一定期間は避妊を行わなくてはいけなかったり、飲み合わせの悪い薬がある場合もあります。
個人輸入の場合、これらの注意事項を把握しきれない可能性が出てしてしまいます。
②偽物の場合もある
個人輸入で仕入れたイソトレチノインには、偽装品が混ざっている場合があります。
品質が保証されていないので、しっかりと医療機関で購入しましょう。
イソトレチノインの種類
そもそもイソトレチノインとは、薬に含まれる主成分の名前です。
新薬として”アキュテイン”が開発されました。
その後、ロアキュタン、イソトロイン、アクネトレント、アキュファイが後発薬として発売されました。ジェネリック医薬品は開発に必要な期間や費用が抑えられるため、薬の価格も安くなります。
まとめ
以上がイソトレチノインについてのコラムでした。
ニキビに悩んでいる方、副作用などしっかりと説明いたしますので
ぜひ一度カウンセリングにお越しください。