【医師監修】ホクロの種類・悪性のホクロ(メラノーマ)について
今回のコラムでは、「ホクロの種類・悪性のホクロ(メラノーマ)について」ご紹介いたします。ホクロを除去する前にご自身のホクロを一度チェックしてから、施術をするのをおすすめします。
ホクロの種類
一般には皮膚にできた色素斑(黒いできもの)をホクロと呼ぶことが多いですが、皮膚疾患でいうホクロは、母斑細胞といわれる細胞が増殖した腫瘍のことです。
ホクロには先天性のものと後天性のものに分かれ、全部で5種類あります。
先天性母斑
生れてすぐに見つかるホクロです。平坦なものから盛り上がるもの、太い毛が生えたものなど様々な形のものがあります。
Miescher母斑
顔や頭など首から上に発生し、7mm前後の半球型にふくらんだ後天性のホクロを「Miescher(ミーシャー)母斑」といいます。毛が生えている場合も多く見られます。若いころはほとんどが青黒色調ですが、年齢がたつにつれて淡褐色、正常皮膚色へと薄い色に変化していきます。
Unna母斑
体によくでき、柔らかくふくらんだ後天性のホクロを「Unna(ウンナ)母斑」と呼びます。表面は凸凹しており、半球型か楕円型、さらに大きさも10mm前後と大きなホクロです。しかしMiescher母斑に比べれば浅い部分に位置するため、レーザー治療はより容易です。
Clark母斑
手のひらや足のうらを含めた、全身に現れる薄く平らなホクロを「Clark(クラーク)母斑」と分類します。直径は5mm〜12mm程度とさまざまです。色素は黒褐色、形は楕円形を有しています。
Spits母斑
子供に発生することが多く、ほとんどが幼児期にできるものです。全身のどこにでもできて急速に大きくなり、赤色を含む場合もあります。基本的には良性ですが悪性黒色種(メラノーマ)との鑑別が難しいため受診をおすすめします。
悪性のホクロ(メラノーマ)
メラノーマ(悪性黒色腫)は皮膚がんの一種です。
皮膚の色と関係するメラニン色素を産生する、メラノサイトという皮膚の細胞が悪性化してできる腫瘍です。また、生まれつき皮膚のかなり深い部分に色素性母斑がひろがっている場合には、巨大色素性母斑と呼ばれ、悪性化する可能性があるともいわれているため、適切な観察や治療が必要です。
一般に足の裏や手のひらのホクロも悪性化しやすいと言われます。日本人のメラノーマ(悪性黒色腫)の40%程度は足底に発生します。そして、日本人の10%以上が足底にホクロがあることが知られています。
ホクロの良性・悪性の確定診断には組織検査が必要ですが、最近ではダーモスコピー検査を行うことで、98%以上の確率でメラノーマとホクロの診断が可能とされています。ホクロがいつのまにかできて次第に大きくなる、色の濃淡がある、形状が左右対称でない、境界が不明瞭、傷ができて治らないなどあれば悪性化の可能性があるため早めに受診してください。
悪性ではないと分かった状態で安全にホクロ除去をするのをおすすめします。
見た目はほくろのように見えるため、自分でみるだけでは診断が難しいと言われております。まずは、自分でも「怪しいほくろかな?」と疑うことのできるわかりやすい所見、「ABCDE」でセルフチェックしてみてください。
以上が、ホクロの種類・悪性のホクロについてでした。ぜひホクロ除去をする前に、ご自身のホクロをチェックしてみてください。もしご自身で判断が難しい場合は、お気軽にカウンセリングでご相談ください。